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彼岸花の咲くころ [日記・雑感]

2ヶ月半のご無沙汰でございました。
また、あまり気張らず、気の向くままに投稿していこうと思います。よろしくお願い致します。

昨日、埼玉県日高市は高麗にある巾着田の彼岸花500万本が咲き乱れている光景を、某TVで見せて頂きました。
現地では見頃は過ぎたと言われていたようですが、画面では満開の風情がすばらしかったです。
今年はもう手遅れですので、来年は是非見物に行こうと思っております。

私は彼岸花が大好きで、自家菜園の一角に球根を植えようと思ってきました。
それを拒否しているのは、うちの奥さんの「墓場でもあるまいに」という一言です。
彼岸花と墓地にどんな関係があるのかは、私には分かりませんが、義兄が植えたがっているのに義姉が反対していると聞いて、姉妹には共通した何かがあるのではないかと思ったりしています。

IMG_2992.jpg

茨城県の常総にも彼岸花の園があると聞いて、見学に行こうと計画したのですがそれも果たせず、近くの城山公園で小さな群落を見つけました。
もっと大きな群れが見られるだろうと期待したのですが、意外と貧弱なもので少々がっかり。
その貧弱な花の群れも先日の台風で、すっかりなぎ倒されてしまいました。
こちらも来年に期待する他はありません。

私が育った島根県は大田市の通学路に、『どんど』という難所がありました。
道路の両側から山が迫っており、河と道路はその狭間を通るしかないという地形。
道路と河は狭間で交差して居り、橋の真下が滝になっていた。

通学のためにその狭間にさしかかると、滝の轟音が山にこだまして、不気味な雰囲気が頚動脈を這い上がる。
その上このどんどには怪奇現象が噂され、昼間でさえ一人で通るのには少なからず抵抗があった。
一人歩きの夜には、後ろから付いてくる足音がするとか、狭間の真ん中あたりにある泉に牛の生首が転がっていたといった類の噂であった。

その泉の対面には自然に湧きだす鉱泉があり、岩の割れ目から炭酸水が流れ出していた。
傍には住居跡らしい礎石があり、普通の住居用としては異常に大きい井戸がある。
其処に棲んでいた女性が井戸に身を投げて一家は途絶えたと言い伝えられていた。

昼間は別になんでもないのだが、夜になると様子は一変する。
1人で狭間の道を歩いていると、明らかに何かが道路脇の山の熊笹を掻き分けて併走してくる音がする。
人を騙す狐だといわれていた。
そう言われてみると、狭間にこだまする滝の轟音に こーん という何かの鳴き声が混じっているように聞こえてくるのであった。

学校からうちに向かって狭間を通り過ぎた辺りは森山さんちの地所で、田んぼと道路の間の空き地は彼岸花の自生地であった。
私の部落には同級生が3人で2人が女性、1人は隣家の美少女奈美ちゃん、他の1人は愛ちゃんという極普通の少女であった。
私たちは、あのどんどを単身で通るのが怖いので、3人揃って下校する。
登校時には大人や上級生などが結構通るので、そんな恐怖心はなかったのです。

IMG_2998.jpg

そしてこの時期、恐怖のどんどを通り過ぎた私たちを迎えてくれるのは、真っ赤に咲き乱れる森山さんちの彼岸花の群生であった。
教科書を入れた手提げ袋を放り投げて、3人は彼岸花を根本から折り取る。
茎を交互にポキポキと折って表皮の繊維を使った環っかを作り、ネックレス風に整形する。
そのネックレスを3人がお互いの首にかけあう。
私がいつもかけてやるのは、隣家の奈美ちゃんの首であり、私にかけてくれるのはいつも愛ちゃんであった。

うちのおふくろは奈美ちゃんと私が仲良くするのを嫌った。
隣家には、子供に理解しがたい噂があったからです。
私は母親の言いつけどおり、奈美ちゃんとの間に距離をおこうとする。
そんな私の態度を敏感に察した奈美ちゃんは、私と愛ちゃんがへんこ(性交)をしていると言いふらす。
よしんば、そんな可能性があったとしても、私がへんこをしたいと思ったのは、愛ちゃんではなく奈美ちゃんの方であっただろうと思う。
だからといって、そんなことを口に出すほどには、私はまだ成長していなかった。

そんなまま彼岸花のネックレスを掛け合って遊んだ3人は、やがて異性を意識する年頃に至り、口をきくこともなくなっていく。
あれから60年。2人の女性は今だ健在だと聞いているが、同窓会にも出席せず、拝顔の栄に浴する機会も与えてもらえないままである。
それでも彼岸花は毎年この時期に咲き誇り、私にあのころのことを思い出させるのでした。

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