地デジ

地デジ放送が開始されてから１０年だそうですね。
２年あまり前。テレビが見られなくなるよ、と煽りたてられて地デジ対応のテレビを買いました。家電量販店は私と同じ感じの年寄りがテレビ売り場を占領しておりました。きっと、皆さん尻を叩かれて止むなく購入を決めたのでしょう。

持ち帰って早速古いのと置き換えてみましたが、電波が弱いとかで映りません。ブースターを買いに走って、取り付けました。アンテナを少し高くして、グルグル回しているうちに映りましたねえ。その画面のきれいなこと。目が覚める思いでした。なぜ、これまであんな見づらいものを見続けてきたのだろうと、自らの無知を恥じることしきりでした。

それでも電波は弱いらしく、天気がくずれると映らなくなりますし、新鋭の高級車が走ってきたりすると画面が乱れます。対策ははっきりしています。電気屋さんにお願いすれば、完璧になります。しかし、噂によると電気屋さんのアンテナ修理代は不当に高く、４２インチのテレビの値段よりずっと高いのです。この際仕事をしなくっちゃ、ということだったのでしょうが、考えてみればバカバカしい話です。ふざけたお話ですよ、全く。私は多少の不具合は我慢することに決めました。

数ヶ月後。NHKのトーク番組で、①に賛成の方は赤を、②に賛成される方は青いボタンを押してください、と言われたのです。うん、さすが地デジはすごい、これが視聴者参加システムなんやな、と感心しておりました。翌日。ピンポーン、NHKです。「奥さん。お宅は地デジ放送を受信されていますよね。料金は支払われていないようですけど、どうなっているんでしょうか」　　奥さんは責められていました。

「あ、それなあ。俺んとこは引越しばかりしてて、ま、言わば住所不定状態が長かったもんで、申告してなかったんだよ」「あ、旦那さんですか。引越しばかりと言われても、何処に居てもテレビは見るでしょうから。料金は原則払って頂くことになるんですが」「あ、そうかね。引っ越し先が外国でもかね」「いやー、外国に居られる間は払う義務は生じませんが、帰って来られたら払って頂かないと」「この先、又すぐに国外に出るかもしれないんだけどなあ」「あ、そういう場合は連絡を頂ければ、日割りで精算することができますので、この契約書に判をお願いします」

という訳で、私は生まれて初めて受信料を払わされることになったのでした。住所不定状態は本当です。転職、移転、出国、入国の繰り返しだったのです。勿論本邦に居る間は日本のテレビを観ておりましたけど。

そんなことはどうでもよくて、私が言いたいのは、あのトーク番組とピンポーンNHKの関係です。ボタンを押すことによって、あの家では未契約で地デジを観てる、と分かるようになっているんでしょうねえ、きっと。何をされているか分かりませんなあ。こちらの生活が丸見えだったりして、、、、。

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