ホンジュラス

この月。珍しく、ホンジュラスが２度も話題に上りました。
一つは日本代表のホンジュラス戦。６－０で日本が勝利。
国民的なサッカー人気を誇るホンジュラスがこの成績でいいのか。
これが日本の実力なんだなんて思っていいのか。
低迷期のチームに勝って、気を緩めるんじゃないよ。

今一つは、美人姉妹殺人事件。
パーティーではしゃぎ過ぎた女に腹を立てた男の犯行。麻薬組織がらみだとも言われている。
この事件。女がミスワールドのホンジュラス代表に選ばれていた人だったから大きく報じられた。
でなければ、この程度のニュースが日本まで届いたかどうか。
そのくらい、殺人事件の多い国なんです、ホンジュラスは。



２００５年の一年間。私はホンジュラスはカリブ海に近いサンペドロスーラに住んでおりました。
サンペドロスーラ（以下サンペ）は、首都テグシガルパに次ぐ、ホンジュラス第二の都市。
海の玄関コルテスまで、車で普通に走って３０分。
コロンビアから北米に至る、麻薬ルートの中継地にあたる当地は、薬と銃にまみれた犯罪都市なのだ。
当然、北米のマフィアとは太いパイプでつながっており、人的貢献も盛んであると言われている。



当地で長生きしたいなら３猿になれと人は言う。まず、言わザルになれ。
相当に口が悪い私も、本当に悪口を吐くときには、的を少し外す。
どちらを向いても物騒な話ばかりだが、ここの人たちは大喧嘩をしない。
後が怖いので引き時を心得ているのだ。契約殺人など珍しくないそうだし、安く請合う人がいくらでもいるという。
やっても捕まらないのだから尻尾さえしっかり隠しておけば安心。

私が関係していた会社の人事課長も同年０８月に殺された。リストラがらみだと言われた。
携帯電話を要求されて、拒否したために殺された若者。馬車で果物を売り歩いている年寄りが、
僅かな売上金目当てに殺された。私が時々顔を出すナイトクラブの支配人も、営業中に屋外に呼び出されて射殺。

圧巻（？）はクリスマス前日の満員バス乱射事件。
サンペから西方に車で２時間あまりのところに、かの有名な遺跡都市コパンがある。
サンペ郊外を南へ抜けて間もなく、首都方向とコパン方向との分岐点にヌエヴォチャメレコンのバスセンターがある。
その日もコパン方面行きのバスは満員状態。そこへ薬で頭がいかれた野郎が現れてマシンガンを乱射した。
３０人近い人がクリスマスが出来なかった。

私がサンペに住んで、初めて散髪に行った日。町のセントロに近い閑静な住宅街。
日本の何処かで見たようなたたずまいが気に入って、ある店に入ってみた。
３つある椅子のうち２つでは客がサーヴィスを受けており、他に２人が順番を待っている。
好奇の目から逃れるため、そこは諦めて次を探す。
幸い近くに次が見つかり、おばちゃんにホンジュラス最初の散髪をしてもらった。

それから２週間。私が最初に頭を突っ込んだ店で事件が起こった。
あの日目にした初老と若者の２人がやられた。
薬の売上金を巡るトラブルで、あの日居なかった長男が金を持ち逃げしたのだとか。

後日、私の日本人の知人は、その閑静な住宅街を夫婦気取りで歩いていて、ピストル強盗に遭遇。
有り金を全部持っていかれた。二人は不倫の仲だった。

これらは、その１年間にサンペで起きた私が知り得た事件だけです。間違いなく氷山の一角。

でも、私はサンペが嫌いではない。スーパーへ行けば何でも買える。アルコールも美味い。
女は美人ばかり。そのプロポーションたるや衝動をおさえるだけで、精一杯。
そんな国だから、女の取り合いで事件が起きる。人間らしくていいやな。

タグ：薬　銃　殺人　美人