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歯科 4 [暮し・健康]

それまでスルメなんか食べようとも思わなかった私が、なぜ突然狂ってしまったのかについては、心理学者の判断に任せなければならないとしても、何か何処かに空虚なところがあって、それを埋めようとしていたに違いない。なんて無意味な屁理屈はさておいて、私の左奥歯は使えなくなってしまった。痛くて噛み締められないのだ。

完全に咀嚼しないと飲み込まない、という指令が脳みそに組み込まれている私にとって、それは死活問題であった。簡単に、硬いものを食べなければいいだろ、と言うことも可能でしょうが、それでは自分の好物は避けなければならなくなる。

結果として生じるのは、歯茎が弱くなっている右側の酷使であった。左側の回復には、思いのほか長い時間を要した。その頃には右側の歯茎はますます力をなくし、心なしか歯の落ち着きが悪くなる。共に弱くなった左右の歯を騙し騙し使って、ラオスの豊富な野菜を食いまくった。鍋にも麺類にも訳の分からん野菜がいっぱい出てくるのだ。私にとってそれらは逃せられない食材であった、歯の保善と引き換えに、、、、。

俗に、歯目マと言われているとおり、そうでなくても、まず歯が弱る年齢にある私にとって、それはあまりにも思慮を欠いた行動だった。60になるまで、歯に絶対的な自信を持っていた男の思い上がり、つまり無謀と言える行動であったのだ。

ラオスの仕事を終えて帰国した頃には、右側の奥歯は上下共にすっかり力を失くし、ぐらぐら。自然と左側を酷使するという最悪のパターンに嵌まっていた。右の歯茎は色を失くし壊死寸前状態。口臭もまた酷くなっていたことだろう。

「よくこんなになるまで我慢できたわねえ。痛かったでしょうに」申し遅れましたが、うちのドクターは女性なんです。辛くなかったわけじゃありませんが、色々と都合がありましてねえ、、、、。
「こんなにゆるんできたら、上下とも抜くしか方法がないわねえ。少し様子を見てから抜きましょう。傷んだ歯茎も相当削り取ることになります。そうしないと傷がふさがらないのでね。あとは入れ歯にすることになりますが」 私は意見を出せる立場にありません。遂に自慢だった歯を抜くことになったのでした。2009年、70歳になっておりました。歯の不具合を意識し始めてから10年が経っていたのです。

まず下を抜いて、1ヶ月後上を抜いた。両方とも歯茎の腐っていた部分を削り取ったため、抜いた後は巨大な穴になり、なかなか塞がりません。肉が盛り上がってこないのです。抜いてからあまり長い間入れ歯をせずにおくと、隣の歯が駄目になるのだそうで、3ヶ月後、まだ歯茎が口を開いたまま、入れ歯を実行しました。驚いたことに結果は抜群で、一発で成功。新しく口の中に入ってきた異物に慣れるのには、更に3ヶ月かかりましたが、あれ以来入れ歯の周辺に不具合が起きたことは一度もありません。すばらしい!

しかし、当然といえば当然ですが、それまでの長い間孤軍奮闘し続けてきてくれた左側が、今、とうとう音をあげ始めているのです。得意の騙し騙しで、死ぬまでいけるかどうか、、、、。神様、どうぞよろしくお願いします。


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Tomie

歯のお話、他人事ではありません(苦笑)。
しかし、ここまでは酷くありませんが・・・(笑)。
by Tomie (2013-01-15 09:55) 

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