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ホームヘルパー養成実習3日め [暮し・健康]

朝8時、出発準備を終えて念のため、実習の案内を取り出して実習開始時間を確認してびっくり仰天。なんと8時開始なのであった。

すぐに電話で、遅刻する旨を先方に伝えて家を飛び出す。小雨まじりの、5月としては珍しく気温の低い朝だったが、連休で人々が行楽に出かけたせいか、道路事情は意外にすっきりしており、8時20分に到着。

今回は前回の訪問介護とは異なって、施設での実習である。利用者は男4人、女5人の計9人。施設はまだ新しく、清潔に維持されている。

まず、掃除。3ヶ所ある便所を掃除する。床は案外汚れていて拭き取りに使う雑巾やティッシューがすぐに真っ黒になる。日々の掃除がさほど丁寧に行われているとは思えない。続いて風呂場に隣接した脱衣場兼洗濯室兼用品置き場から始めて、廊下や食堂、利用者の居室の掃除機かけをする。

廊下の一部と利用者の居室一部屋を終えたところで、ストップがかかった。お茶の時間だという。どうやらそれまでに掃除を終えるスケジュールになっているらしい。それでは丁寧にやってる時間はないかなあ。ま、毎日のことだから、さっとやっておけばいいってことかもしれない。それもまた理に適っているのであろう。

お茶のあとの洗い物をしたあとは、これといった仕事がない。入浴介助の見学をする。痩せ細ったばあちゃんの身体が痛々しかった。先日亡くなった義理の母もそうだったのであろうと思う。人は、身体が細くなると同時に命も細り、意識が薄れて死んでいくのだ。

入浴を終えたばあちゃんが、介助の補佐をしている若い兄ちゃんに、あまり見るなよ、と苦言を言ったのには驚いた。この兄ちゃんは新入りでまだ見慣れていないということもあるだろうが、いやな感じだったであろう。誰も好きこのんで、そんなに痩せ衰えた婦人の裸を見ているはずはない。若い女の裸ならいざ知らず。

また、見る影も無くなった身体を人目に晒さなければならないばあちゃんの苦悩もよく分かる。
勿論、普通に考えるところの悪気などばあちゃんにはないだろう。自分が見るに耐える身体を保持していると自負している人なら、そんなきついことは言わないかもしれない。
私は遠くから見学していただけで、よかったと思った。近くにいてそんなことを言われたら、私には消えていくしか方法はない。

これといった用事が見つからず、職員に問うと、その度に、年寄りと一緒に座って話をしてあげて、と言われる。アルツハイマーのAさんは、私は昭和5年、あんたは? と同じ質問を繰り返す。たまたま子供さんが3人揃って見舞いに来られたのだが、そんな筈はない、子供たちが来たのなら俺が知らないわけがない、馬鹿なことを言うもんじゃないよ、と、たった今玄関先まで出て見送った3人の来訪を認められない、一見正気の人なのだ。

大正13年生まれのBさんは、最後の学徒出陣で、南方へ送られる船中で、終戦になり死なずにすんだらしい。ひとつ前の船団で運ばれていた兵隊は殆ど死んでしまったが、自分はぎりぎりのところで助かったと繰り返す。早稲田で土木を勉強していたのだという。

私の義父はそのひとつ前の船団にいたのか、船と一緒にフィリピンの近海に沈んでしまった。悲しいね。

自分の身体が思うように動かないことへの苛立ちに耐え切れずにいる年寄りたちに、救いの手はないのか。気を静めてあげるにはどうしたらいいのだろう。皆さん自分のことは自分でやりたいと思っているのだ。

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jane

Lobyさん
nice! ありがとうございます。
by jane (2013-05-05 21:33) 

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