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ホームヘルパー養成実習4日め [日記・雑感]

大型連休の真っ最中だというのに、私は実習のため、昨日と同じ施設へ出向く。本日は様子が分かっているところなので、余裕。昨日やったことを思い出して、そのままやればいいだけのこと。

掃除に関する私の洞察は適中で、ゆっくりやってくれればいいから、と昨日と同じようなことをヘルパーは言っていたのに、体操の時間が近くなると、時間がないからこういう風にやって、と私から掃除機をもぎとり、私には信じられない要領で掃除をやって見せる。
それに付け加えた台詞がこうだ。『毎日のことなんだから丁寧にやることなんかないの』

悪いけど、掃除機の使い方なんか、こんなところで教わらなくても分かっている。私には彼女に示された要領で掃除機を使う気など毛頭ない。それはただの高齢者の頑固さなどでは決してない。掃除機の使い方にはれっきとした常識があるからだ。

いくら毎日やったって、中途半端な掃除では汚れは積み重なっていく。きれいになるわけがないのだ。が、私は研修の身。けんかはまずい。

昨日、あまり見るなよ、と苦情を言ったご婦人が本日も入浴することになり、年配の男性ヘルパーと私とでやることになる。シャンプーをしてあげ、身体も洗ってあげる。気持ちいい、気持ちいいと喜んでくれ、お世話になって悪いねえ、ありがとう、とも言ってくれた。昨日の興奮ぶりとは打って変わった落ち着き様であった。私のサーヴィスを受け入れてもらって、嬉しかった。ありがたかった。

この人がいつまで生き延びるか誰にも分からない。私がこの人に会うことは2度とないかも知れない。しかし、扱いにくくてどうしょうもないと言われているこのばあちゃんに、私は不思議な親近感を持っている。あまり長く苦しまないで逝ってください、と。

最後の学徒出陣で危うく死にかけたBさんは、わたしの自宅の近くの住人だと分かった。
そう言われれば、何処かで見かけた人のような気がしないでもない。徘徊癖があるらしい彼が、勝手にドアを開けて出てゆく。慌てたヘルパーが何処へ行くのかと問いかける。彼は『俺の車を見に行くんだよ。免許証も車の中に置いたままだし』
そんな筈ないでしょ。あんたの車はとっくに売ってしまったって奥さんが言ってたわよ。
『そんな馬鹿な。俺があの車を売ってしまう筈がないだろ。いつも乗ってるんだから』

何処かで歯車の噛み合わせが少しずれてしまったのであろう。一日も早くいい薬が開発されますように、と祈らずにはいられない。

彼らは皆、人の世話になることを恥じ、自分の身体が自分の思うままにならないことに苦しみ、嫌でも目に入る老い衰えた自身を嫌悪しながら、ゆっくりと確実に近づいてくる最後の日に向き合っているのだ。

2日間の実習で私が得たものは、こういう人たちに優しくありたい、受容の精神を持ち続けたい、という心持である。1週間先に組まれている、あと1日で実習も終わる。私は何処かで変わりつつある自分を自覚している。

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タグ:老い 受容
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コメント 2

Loby

GWにも関わらず、養成実習、たいへんお疲れ様でした。
いろいろと学ぶところが大きかったようですね。
”優しくありたい、受容の精神を持ち続けたい”という心を
持ち続けることは、何よりも大切なことだと思います^^b

by Loby (2013-05-06 05:30) 

jane

Lobyさん
nice!とコメントありがとうございます。

hirochikiさん
nice!ありがとうございます。

metaaboさん
nice!ありがとうございます。
by jane (2013-05-11 21:42) 

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