ホームヘルパー養成実習５日め

１週間近くも続いた晴れが、今日は朝から雨模様。実習場に着く頃になって降りだした。
「あら、今日の実習は９時からですよ。一時間もありますが、どうします？」
「え、前回と同じじゃないんだ。俺もええ加減だよな。予定表をちゃんと見てないんだから」確認するまでもなく、私の方が正しいはずはない。
「ま、いいや。そこらで１時間潰すから」

間もなく先ほどの女性が来て、もし良かったら、これから出かける送迎バスと同行して、送迎の様子を見学してみませんかという。喜んで同行した。

そのバスは、小雨の中４名のお年寄りを迎えにいった。女性２名は自身で移動可能。男性２名は車椅子。今日は１週間のうち一番人数が少ない日だと言われた。
もう一台のバスが９名をお連れして、合計１３名が本日のデイサーヴィス利用者だった。

サーヴィスが行われるホールの雰囲気は予想以上の良さでした。看護師と介護士がかもし出す明るさが何ともいえない。皆さん、入浴と食事がメインイヴェント。リハビリ体操やカラオケもある。

入浴を終えた女性の頭を乾かしてくれと言われて、慣れないドライヤーを使う。熱風の温度が怖い。怪我を負わせないように細心の注意をはらう。

セットを終えてから、いかかです？大丈夫ですか？　と訊いた私に、「はい、良く出来ました、ありがとう」と返事があった。嬉しかった。

洗い物をしていた私に、事務所の若い女性が、「おうちでも、洗い物をすることがあるんですか」と問う。「うん。たまにやらされてるんだよ」「あ、やっぱり。うちの旦那も、やらされる、というのよ。同じだね」と爆笑。
「これからは、たまにではなく、もっといつも洗ってあげてください。奥さん喜ぶわよ」と言われてしまった。

私が食事介助を頼まれたのは、嚥下障害があるＮさんで、無言で車椅子に座ったままの人でした。脳血管系疾患の後遺症か、身体の動きも超緩慢です。食べるのもゆっくりで、はい、あーんして、ごっくんして、といった具合です。でも、自分でも食べようという意識があるので、時々箸を口へ運びます。大抵食物は途中で落ちてしまうのですが、稀に成功することがあります。その度に、あ、上手ですねと褒めると、私の顔をじっと見ます。分かってるんですよ、何を言われているか。

食後、洗面所で歯を磨いた人が、「あら、私が座っていたところは何処だったかね。分からなくなってしまったわ」と言う。そんな台詞が普通に受け入れられる雰囲気がいい。笑う人も馬鹿にする人もいないのだ。

”Ｉ”婦人が私に言った。「あんた、おれの旦那だろ。どうして胸に”Ｉ”て書かないんだ。それじゃあ間違っとるじゃないの。明日からちゃんと書いて来るんだよ」研修生は全員、胸に自分の名前を大きく書いた名札を付けているのでした。

実習終了時、看護師の心配りで、私は皆さんの前でお礼の挨拶をした。拍手をしてくれたお年寄りの笑顔は明るくほころんでいた。

合計５日間の実習は無事終了した。

帰りがけに、事務所の女性が言ってくれた。資格が取れたら、ここで働くことを考えてみない？　て。嬉しかった。皆さんに深謝。

タグ：デイサーヴィス

コメント 2

５日間の実習お疲れ様でした。
嬉しいお言葉も頂けたようで、本当に良かったですね。
by hirochiki (2013-05-12 20:09) 

ｈｉｒｏｃｈｉｋｉさん
ｎｉｃｅ！とコメント　ありがとうございます。
by jane (2013-05-14 08:55)